老ヴォールの惑星

短編集なのだが、タイトルの「老ヴォールの惑星」は 竜の卵 (ハヤカワ文庫 SF 468) の巨大ガス惑星(惑星が巨大でかつ公転周期と自転周期が一致しかつ大体の場合単一)版で面白かった。
基本アイデアとして常に知的生命体が0から生まれるってのが面白い。
つまり遺伝子は存在せずにミームのみが存在する環境だな。(遺伝子レベルでの生殖が存在しないためそういう意味ではジェンダーフリー(笑))
自分たちの出自事態には興味があまりないらしく、「やってくれるなら、僕をたべてもいい」って台詞が泣かせる。
ミームが利己的に振舞ってるじゃないですか(笑

一方「幸せになる箱庭」はバーチャルで満足するならば人間(の脳?)はすべてを捨ててもかまわないってテーマと読んだ。
マトリックス 特別版 [DVD] の味方を裏切るキャラを地でいってる世界だな。
ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF) では4次元を体感するために仮想世界を使っていたが、こいつは仮想世界自体を加速することができるって設定がよい。まあ、もちろんウェットウェアの方は置き去りだけど(笑
極微機械ボーア・メイカー (ハヤカワ文庫SF) みたいにすると、仮身で得た知識を実身へリロードって時間が足りないか…って脳の配線を直接いじれば記憶は伝播可能か…って、マイクロマシン肯定すると何でもありになって困るな。
もし仮に未来でSFがいうようなマイクロマシンができるとするとマイクロマシンの暴走どうするかって問題というよりも、細菌やウイルスとマイクロマシンの違いって何なんだろうな。

あとは、「ギャルナフカの迷宮」と「漂った男」は共に人間には社会が必要もしくは人間は社会を作る生き物であるってテーマだと思った。極限状態の話ってあまりにも刺さるのでここで言及したくありません(笑

今年もよいSFに出会えますように。(映画、漫画、小説問わず)

その後、以下のページ発見。

ちなみに、「幸せになる箱庭」の宇宙人(?)は、伝承族だよね、伝承族。間違いなくw

伝承族(出展:mapsマップス 第1集 [DVD])=全部の事象を記録し、予測する
クインビー=環境を与え記録する。外部入力が新規の知的生命体。

クインビーは外部入力(ソフトウェアでエミュレーションしている個体も外部入力に含まれる)が着目している点のみ元素レベルから巨視的な範囲まで適度にエミュレーションしている点で伝承族と異なる。
伝承族のほうが、クインビーよりもはるかにエネルギーを必要とし(だからブーアプロトタイプ?)ているから生贄砲が必要になるのか(笑)
まあ、エネルギー取得方法を「木星の噴水」にした時点で同じか。